学生リレー日記 第2回 ある夜間主学生の一週間
第2回目の日記を書くことになったUです。
日記を書くことになったのは良いのですが、私の人生で日記を書いたのは小学校の絵日記ぐらいなので、何を書いたら良いのか途方にくれています。しかも、その時は「特になし」を連発してしまいましたし。
しばらく考えたところ、この日記を読む方が一番気にしているであろうことを書くのが一番よいと思いました。おそらく、皆さん「仕事持っている私が授業についていけるのだろうか?」ということを気にされているのではないでしょうか。
この点は私もまだ良く分からないのですが、とりあえず、私が1週間どのような生活をしているのか、ここに書かせてもらって、皆さんに判断してもらおうと思います。
とその前に、夜間主で4年制の私の1週間の授業のスケジュールをここに記載したいと思います。
日曜日授業無し月曜日19:30-21:30 現代弁護士論火曜日19:30-21:10 民法総則水曜日授業無し木曜日19:30-21:10 不法行為法金曜日19:30-21:10 刑法総則土曜日13:30-15:10 憲法人権 15:30-17:10 憲法統治 では、始まりはじまり。
1日目(6/13 日曜日)14時 昨日久しぶりに会った友人と朝まで飲んでしまい、飛び起きて、学校に電車で向かう。その途中、最近難しいところをやっている刑法を勉強すべく基本書を読む。 15時 1週間分のプリントを打ち出して、1週間どの様に勉強していくか決める。刑法の体系的理解が全くすすんでいないので今週は刑法をできる限りやることに決める。 20時 やはり昨日飲んだダメージが大きいので少し早めに帰ることにする。電車の中で引き続き刑法の勉強及び予習をする。 23時 家に帰って飯、風呂、洗濯を行ない、ちょっとだけ勉強して寝る。
2日目(6/14 月曜日)7時半 起きて会社に向かう。勉強したいが満員で本を読めないのでボーっとしている(まだ頭がうごいていないらしい)。地下鉄に乗り換えたら空いているので、本を出して刑法の勉強をする。 10時 会社のトイレの時間を利用して、今日の授業で講演してくれる外部講師の方の略歴等に目を通す。 12時 会社の会議室を利用して、御飯を食べながら刑法を勉強する。刑法の故意、過失は難しい。 17時半 就業時間終了と同時にダッシュで駅に向かう。電車の中で座ると寝てしまうので立ったまま勉強する。(職場から学校までは1時間半) 19時半 元第二東京弁護士会会長の久保利先生の授業を受ける。 今回先生がゲストスピーカーとして連れて来て下さったのは中国弁護士で現在森・濱田松本法律事務所に勤めている張先生で、中国の法律状況等を話してもらう。渉外弁護士のみならず企業を相手に仕事をする弁護士は中国の法律を知る必要があると認識する。 この授業では、法律的な知識以外の何故弁護士になりたいか、なったとしてどのような弁護士になるかを考えさせられる。そして、自分か何故弁護士になりたかったかを再確認、再修正して、今週一週間のファイトを奮い立たす貴重な時間である。 21時半 授業後、久保利先生、張先生、その日取材に来ていた日経の記者さん及び仕事を持っている学友数人とお酒を飲みながら、いろいろな話しをする。

ずっと理系畑にいるので、様々な職業を持った方々と話しをできるとは、ほんの3月前には想像もできなかったので、いまさらながら、大宮にきて良かったとちょっと感動する。 (ここにこなければ、狭い交友関係で一生終ったであろうと思う。) 大宮で得られるものは、実践的な授業だけでなく社会で様々な仕事を持った学友と交流を深められることでもあるのです。 24時 家に帰ってきてお風呂に入る。その後、1時半まで明日の授業に備え、民法総則の基本書の勉強をする。 最初は分からなかったが、同じ所を3回読むとだんだん分かるようになる。 すこし、民法が好きになってきた気がする。(気のせいなのでしょうけど・・)
3日目(6/15 火曜日)7時半 朝飛び起きて会社に直行。昨日と同じ様に地下鉄の中で勉強する。 (少しお酒が残っていて、頭の芯がちょこっと痛かったりする) 12時 いつもの様に、会議室でお弁当を食べながら民法総則を勉強する。 19時半 民法総則の授業を受ける。基本書を読んでいたのでだいたい理解できた。 意思表示が送達主義か到達主義かの点で、Eメールの場合にどのようになるかの点にまで話が及ぶ。基本書に書いていないことも知識として得られたので、実務で役に立ちそうだなと思う。 23時 閉室まで自習室で民法総則の復習及び来週の予習を行なう。弁護士になったらどんな分野を専門とするかを、仲良くしてもらっているメーカの知財部の学友とお医者さんの学友と相談する。立場及び経験が異なると違った意見があるんだなと感心する。 2時 いつもの様に電車で勉強しつつ帰宅し、風呂及び簡単な食事をし、少し勉強して寝る。
4日目(6/16 水曜日)昨日までと同じに生活する。今日は授業がないのでまとまった勉強する為に自習室で刑法を勉強する。 晩御飯を食べている時に、証券会社に勤めている学友とお話する。会社再生について教えてもらう。詳しいことまでは解らなかったが、世間的にまずいと思われている会社にも投資する場合もあるのだと教えてもらう。 夏休みになったら自宅パーティ来てと、言ってもらった。なんとしても期末試験をのりきり、明るい顔で参加しようと思う。
5日目(6/17 木曜日)いつも通りに勉強し、いつもの時間に寝る。憲法の予習が進んでいないので憲法を中心に勉強する。
6日目(6/18 金曜日)会社で宴会がある日であるが、予定が入っていると断って同僚の冷たい(?)視線を浴びながら学校に直行。 (このような時ほど目立たぬ為に、有給を使いたいが、試験前にまとまって使用したいのでここは我慢する) あとはいつもと同じ1日であった。 今日も憲法の予習をする。いつもは1時半に寝るのですが今日は3時まで予習する。
7日目(6/19 土曜日)今日は憲法の日なので、早く行ってまだ終っていない予習をしたいのですが、会社の寮の寮長もやっているてその会議に午前中一杯かかってしまう。その後、ダッシュで学校にいく。 大急ぎで、予習を行なうが今だ不充分で授業が始まってしまう。運良く私の直前までしか当たらず命拾いする。 今日は夜間主で仲の良い人を誘ってやる飲み会がある日だ! 最初数人でかるーくやるつもりがだんだん大きくなっていつのまにかクラスの半分を超える大宴会になってしまった。幹事として、精一杯おもてなしをすると心に決める。 ただ、店の人とのコミュニケケーションが悪くって人数のことで店長と揉めスタートは、ちょっと気分悪く始まる。 お酒が入ってクラスの仲間と話すうちだんだん楽しくなってくる。選挙活動もやっている学友に今度の参院選の展望と裏事情を聞いて、なんだか、特別なことを教えてもらった気になり酔った脳が刺激された。 2次会にも行き、3次会はなぜか公園でお茶を飲みながらさらに語り明かす。大学生に戻ったようで、すごく楽しく過ごす。その後、終電で帰宅。今日は全体的におお盛り上がりなので、この企画やってよかったと思いつつ就寝。 以上です。
この一週間はたまたま私の生活がこのようだっただけで、平均的な夜間主の生活というわけではありません。私は睡眠時間を6時間取ることを誓っているので6時間寝ているだけで、おそらく、夜間主の平均から見ると1-2時間睡眠時間が長いと思います。 あと、この週は週に3回も飲みに行きましたが通常は、週に0.5回ぐらいが通常だと思います。 大宮の社会人学生は飲んだくれていると思わないでください。(笑) では次は、昼のTさんです。お楽しみに。
第2回 文責 夜間主T.U 独身、男、31歳、公務員、機械工学学科・原子核工学学科出身、4年制第1回刑事裁判傍聴会報告−感動して泣き出す女子学生− 本日(5月12日)、さいたま地方裁判所において、第1回刑事裁判傍聴会を開きました。午前中の講義が延びたようで、参加予定者14名が、集合場所の埼玉弁護士会館に揃ったのは午後1時30分を回っておりましたが、滞りなく予定をこなしました。

埼玉弁護士会会長の中山弁護士、同法科大学院設置問題等対策特別委員会委員長の岡村弁護士も会館に足を運んで頂き、ご挨拶と学生からの質問に答えて頂きました。 1時30分から両弁護士の挨拶の後、私が公判手続きの流れを説明し、学生の質問を受けました。14名の参加者から矢継ぎ早に繰り出される質問や私の回答に対する意見、更なる質問と、まるで私自身が古典的ソクラティックメソッドの餌食になっている学生のような状態になってしまいました。この学生の積極性に、4月からの授業で大分鍛えられているなあ、と感じました。 2時30分頃に会館を出発し、法律相談センターの建物を外から眺めつつ、さいたま地方裁判所に向かいました。 3時10分まで裁判所を自由に見学して貰い、3時15分からの法廷(単独・傍聴席30名弱)を傍聴しました。裁判所には事前に学生が傍聴することは伝えました。
事件は、51歳(60歳には見えましたね)の身よりのない前科4犯で、昨年10月出所したばかりの男が、酔っぱらってタクシーに乗車し、運転手が自分の指示した場所に運転して行かなかったということに腹を立て、車内の後部座席から運転手を殴ったという傷害事件です。 再犯で、しかも身内からも見捨てられているようで情状証人も立てられない、所持金の中から5000円を弁護人が被害者宛現金書留にて郵送したという報告書くらいしか情状証拠が提出できないという、ありふれた、そして、弁護の材料に苦労する事件でした。

しかし、弁護人である村木一郎弁護士は丁寧に被告人質問し、彼の転落の原因が奈辺にあるかを明らかにしました。被告人の最終意見陳述の際、彼は、「多くの人々に迷惑を掛け、弁護士さんには、何回も接見に来て頂き、ありがとうございました。」と涙ぐみながら、弁護人席に向き直り、村木弁護士に深々と頭を下げました。 被告人は「多くの人に迷惑を掛け」と言った際、確かに、傍聴席を見ました。おそらく、彼は、こんなに多くの傍聴人が居る法廷で裁判を受けたのは初めてだったのではないでしょうか。いつも傍聴席には誰も居ない独りぼっちの法廷だったのだと思います。我が大宮法科大学院の学生諸君は、感動をもって目前で展開される光景を凝視しておりました。某女子学生は、傍聴席で泣き出し、法廷外に出ても涙を拭っておりました。
傍聴後、途中、さいたま地検、さいたま拘置支所の建物の外観を眺めながら、村木弁護士の事務所へ向かい、 その会議室で、質疑応答を行いました。ここでも、次々と質問を繰り出す学生諸君の意欲的な態度に接しました。 1時間半くらいの時間があっという間に過ぎました。 6時にお開きとしましたが、帰り際、法廷で泣き出した先の女子学生は、「自分は知財をやりたいと思っていたが、刑事弁護もやりたいと思いました。」と目を輝かせながら私に告げました。
編集後記本号では、前回に続いて「学生リレー日記」を掲載しました。夜間主コースの存在が、本学の特色の一つですが、果たして仕事と学習の両立というのは可能なのかということが、おそらく学外の方の大きな関心事であると思われます。 彼らの話を聞くと、決して容易な途ではありませんが、すばらしい熱意を持って取り組んでいます。その熱意に応えて最大限のバックアップをすることが、本学の使命であると考えています。 もう一つのコンテンツとして、萩原猛弁護士(専任教員予定者)による「刑事裁判傍聴会報告」を掲載しました。法科大学院における1年次の学習は、法律基本科目の座学が中心となりますが、それと平行して、「現場」を体験するというプログラムが、本学ではしばしば設けられています。そうした現場に接した本学学生の姿、皆さんにはどう感じられますでしょうか。
2004.06.28 広報委員長 田中 宏
