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ニューズレター(第4号)

学生リレー日記 第4回 留学制度について

第3回リレー日記のTさんから日記を引き継ぎました、夜間主コースのKと申します、宜しくお願いします。 今回、リレー日記を書かせていただくにあたりまして、何を書こうか色々迷ったのですが、夜間生の一週間は前々回のUさんがお書きになりましたので、今回は私の方は、本学のLL.M.への留学制度について書かせていただこうと思います。 私事になりますが、来年の9月から私は、職場の理解をいただけたこともあり、米国法学部修士課程(いわゆるLL.M.コース)に留学する予定です。今回は、そのための色々な事前準備、および留学についての本学の様々な支援システムについて述べさせてもらおうと思います。



まず、本学のLL.M.留学についてですが、ご存知の方も多いと思いますが、本学においては、法学部卒の学生について、学生が在学中に(例えば3年制では2年次後期から3年次前期)アメリカのロースクールでLL.M.を取得したうえで単位互換制度を利用することにより、本学の在学期間を延長せず、卒業することが可能です。
そして、学生は自らの選択したロースクールに留学して単位互換制度を利用できますが、現在、アメリカのLL.M.コースはアイビーリーグなどの名門校ともなると、どこも十数倍の難関となっており、厳しい大宮での毎日の勉学の合間に、個人の力で全ての準備を行うことは極めて困難です。


そこで,本学においてはアメリカの複数のロースクールとの間で提携協定を結んでおり、今後も提携校は増えていく予定です。具体的には、テンプル大学、イリノイ大学などが挙げられ、去る6月4日(金)には、テンプル大学ロースクールのラインシュタイン学長を本学にお招きして講演をしていただいてもおります。


また、LL.M.を卒業した後には、7月に各州の司法試験を受験して、米国弁護士資格を取得し、9月に帰国して本学に復学後、最終的に日米双方の弁護士資格を取得することも可能です。


私もこの、本学の恵まれた制度を是非利用させていただきたいと思っておりますが、同時に、その他のロースクールについても幅広く検討し、最終的な留学先を決定したいと考えております。


news04_01.jpgそんな中、去る6月16日(水)、「大宮法科大学院大学学生向け州立ワシントン大学ロースクール説明会」が千代田区紀尾井町のレックスウェル法律事務所で開催されました。
ワシントン大学LSの建物 州立ワシントン大学は、西海岸のワシントン州シアトル郊外に位置する州立大ですが、マイクロソフトや任天堂USA、それに数多くの製薬企業の本社が存在する土地柄から、知的財産権に強いロースクールを擁する全米屈指の名門大学であります。
残念ながら現在のところ、州立ワシントン大学は本学の提携校ではありませんが、今回は本学夜間コースの同級生で、現役の企業内弁理士としてご活躍のKさんが、州立ワシントン大学教授と個人的な親交がおありのため、御多忙にもかかわらず、貴重な機会を設けていただきました。


ゲストスピーカーとして説明をいただいたのは、州立ワシントン大学教授であり、早稲田大学法科大学院客員教授である竹中俊子先生です。竹中先生は、日本で弁理士資格を取得された後、州立ワシントン大学に留学され、法学修士、博士号、およびニューヨーク州弁護士資格を取得された後、現在は州立ワシントン大学のCASRIP(先端知的財産研究センター)の所長としてご活躍されております。
今回の説明会には、大宮からは約10名程の留学に関心を持っている学生が参加し、竹中先生からアメリカのロースクールの概況とワシントン大ロースクールのLL.M.の説明、(入学条件、学費、カリキュラム等)について説明を頂いた後、個別の学生の質問に答えていただきました。
先生の御専門は、各国の特許制度の比較、および国際調和、特許クレーム解釈論を中心とした知的財産権法であり、ワシントン大でもLL.M.のIP(知的財産権)コースを担当されており、LL.M.の概況説明に関しても、知的財産権法について重点的にご説明いただきました。


州立ワシントン大学のIP(知的財産権)コースについては、様々な魅力的な特色が挙げられておりましたが、特に私が興味を引かれたのが、医学と法学の境界領域における複合科目、融合科目が選択科目に非常に数多く設定されている点でした。
具体的には、Mal Practice(医療訴訟)や遺伝子工学、生命工学と法、それにFDA(日本でいう厚生労働省)の立法政策等について学ぶことができるようです。更には法学部以外の学部(工学部等)の授業を履修しても良いようで、かなり幅広く勉強できそうだ、との印象を持ちました。

個別質問は、シアトルの日々の生活から始まり、サマースクールの話、BARと呼ばれる米国司法試験の話、そして、LL.M.および日本の法科大学院を終了後、WIPO(世界知的所有権機関)等の国際機関で勤務することの可能性等、活発な質疑応答がなされ、それら一つ一つの質問に対し、竹中先生が丁寧にコメントを付けてくださいました。


まず、サマースクールとは、9月からの本講義の開講前に導入段階で準備的に7月から8月上旬に開講される授業を指しますが、大宮の学生は前期の授業が7月ぎりぎりいっぱいまであるため、サマースクールを受講するために渡米時期を早めることがなかなか難しくその点がネックになっております。しかし、ワシントン大は来夏から8月にサマースクールを開講していただけるよう便宜を計っていただけるようになりました。


また、BARについては、Propertyという物権法が日本のそれとかなり性格が異なるため、注意して勉強しなければならない、等のアドバイスをいただきました。
説明会後は、州立ワシントン大学LL.M.卒業生のメーリングリスト等についてお教え戴いたり、最後まで有意義な時間を過ごすことができました。


最後に、法科大学院の学生があえてLLMに留学することの意義について、私なりの考えを述べさせていただこうと思います。
よく聞かれるのが、たとえ米国の弁護士資格を取得しても1年間のLLMの勉強量では米国の裁判所で法廷に立って、J.Dコース(同じ法学部でも3年制の課程)でみっちり鍛えられた米国人のAttornyと互角にやりあうことなどできない、だからLLMなど行っても結局実用性がなく意味が無い、という趣旨の発言です。


確かに、それはある意味真実ではあります。しかしながら、日本人がLLMで学ぶ意義は、米国の法廷で米国人弁護士相手に弁論を戦わせること以外にもあると思うのです。
それは、米国法およびそのベースとなる英米法のものの考え方、ロジックの積み上げ方を学ぶことだと思うのです。特に、知的財産権関係はアメリカの動向が事実上、世界の趨勢を左右しており、この分野を専門にして渉外事務所等で活躍したいと思うのならば、LLMへの留学は今後は必須になっていくのでは、と考えています。例えば、知的財産権の中でも、遺伝子特許、ゲノム創薬などの分野は日本とアメリカがしのぎを削りあい激しい競争を繰り広げている分野でありますが、日本とアメリカではその権利保護の仕方に大きな違いがあります。もし貴方が製薬会社の顧問弁護士になり渉外を請け負った場合、この手の日米間のギャップの理解と把握は避けて通れないのではないでしょうか?


さて、私達の大宮法科大学院大学はまだその第一歩を踏み出したばかりであり、このLLM留学制度も産声をあげたばかりです。私はその第一期生として、未来の後輩となる方々の参考となれるよう、微力ながら鋭意頑張っていきたいと考えています。
世界的なローヤーを目指す方が是非、本学を志望され、我々に引き続いて渡米してくだされば幸いです。


第4回 文責 夜間主Yk; 29歳、国家公務員。法学部(刑事 政策専攻)出身、インハウスローヤー
(企業、官公庁などの組織の一員となって働く弁護士)志望。



第3回刑事裁判傍聴会報告—熱心にメモを取る傍聴人—


6月25日午後3時より、さいたま地裁において、3回目の刑事裁判傍聴会をやりました。今回は、前日、急遽設定したものであり、また、リーガルムービーシアター(学内で上映される法律関係映画鑑賞会)とバッティングしたということで、参加者は1名でした。
傍聴事件の訴因は、「被告人は、法定の除外事由がないのに、平成16年M月中旬頃から同月Y日までの間、埼玉県内又はその周辺のいずれかの場所において、覚せい剤であるフェニルメチルアミノプロパン又はその塩類若干量を自己の身体に摂取し、もって、覚せい剤を使用したものである」という、日時・場所・使用方法の特定を全く欠いた曖昧なものでした。何故そうなったかというと、捜査段階からの弁護人である私が、被告人に黙秘を指示し、彼がそれを貫いたからです。しかし、私としては、被告人が、逮捕当初から黙秘していたとしても、彼と数日間行動を共にして、彼の覚せい剤使用を供述しているとされる女性が存在する事案でしたので、検察側は当然彼女の供述に依拠して、特定した覚せい剤使用の訴因を提示する筈であると思っておりました。ところがそうではなかったわけです。つまり検察側も彼女の供述を全面的には信用していないのです。


被告人は、前述のように、捜査段階で黙秘しており、被告人の供述を録取した調書が1通もありませんから、裁判官・検察官との事前打ち合わせの際に、第1回公判において、同意書証の取り調べ後に、その弁解の概要を明らかにするという限度で、まず、被告人質問を実施するということになっていました。当然、その後には、女性の証人尋問が想定されます。検察側は彼女については、検面調書1通しか証拠請求しておりません(弁護側不同意)。そこで、有効な反対尋問の保障の観点から、彼女の従前供述全ての開示請求が問題になります。そして、これには検察側は徹底して反対することが予想されました。


というわけで、否認事件で手続きの全体が見通せないものの、訴因の特定に関する弁護側の求釈明、被告人質問(被告人は女性に覚せい剤を混入した飲み物を飲まされたと弁解)、弁護側の証拠開示請求とこれに対する検察側の反論といった、刑事訴訟法上の論点を巡る興味深い展開になると思われましたので、急遽、学生に見せようかと考えた次第です。そして、予想どおり、緊張感ある法廷となりました。検察官も2人付きました。
傍聴した学生は、傍聴席で熱心にメモをとっていました。公判後、裁判所内の弁護士控え室で、マンツーマンで事件の説明と弁護側の戦略について解説しました。その際、彼のノートを見ましたが、実に克明に記録されておりました。前回の殺人未遂も傍聴したとのことでした。


彼に、刑事手続きの流れを理解するには、刑事訴訟法の教科書より、大岡昇平の「事件」という小説を読むと良いという話をしました。

萩原 猛(学内刑事クリニックほか担当予定)

編集後記

各法科大学院では、工夫を凝らしたサマープログラムを用意しているようです。本学においても、提携先である第二東京弁護士会や所属会員の協力を得て、弁護士会見学会や所属会員の事務所訪問(大は100名規模から小は2名規模まで)などの見学系、憲法・民事法・刑事法についてのレビューや学習会などの学修系、特に法廷傍聴が難しい夜間主の学生を対象にした「刑事手続ビデオ学習会」など、本学らしいサマープログラムを用意することが出来ました。しかし、これがおわるとあっという間に9月。後期がはじまり、第2期生を迎え入れる入学者選抜も本格化します。この分でいくと、あっという間に年末がやってきそうで、ちょっと恐ろしいものがあります。

2004.07.17 広報委員長 田中 宏

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