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第4回(2007年度)入学式学長告辞

  私は、大宮法科大学院大学を代表して皆さんの入学を心から歓迎します。本学は、今年で4回目の入学式を迎えることとなりました。つい先日、皆さん方の先輩であります第1期生の学位授与式が行われまして最初の入学生が本学を巣立っていきました。 これから法曹になるために、皆さんに本学で3年間、4年制コースの場合には4年間学んでいただくことになります。この期間は決して長い期間ではありません。むしろ短い期間といっていいでしよう。この3年間あるいは4年間という短い期間で司法試験に合格することは勿論のこととして立派な法曹になる素地、土台を確実なものとしなければなりません。皆さん、蟻とキリギリスというイソップの寓話をご存知でしようが、キリギリスのいない国では蟻と蝉になるようですが、皆さんは法曹を目指すという目標を定めた以上、本学在学中は、キリギリスや蝉ではなく蟻のように自らの将来のためにひたすら真剣に法律を学んでいただきたいと思います。 
何故、本学で所定の期間、真剣に法律を学ばなければいけないかですが自明といえば自明の理ではあります。特に3つほどその理由を挙げておきます。 先ず、法曹はプロフェッションといわれている職業であります。プロフェッションを特徴づける1つは専門性です。法曹は、医師の場合もそうですが、その資格を取得するまでの一定期間徹底して専門職としての能力、資質を磨くことを社会から要求される職業であります。 皆さんは、これから本学で条文を基に主として法解釈を学びます。学び始めるとすぐ理解することですけれど、この法解釈の空間は大変広くて奥深いものです。法解釈といいますのは、多様な価値の比較考量を理性的に合理的にそして体系的に行うものです。そして、法解釈のなかには法規自体の解釈とともに事実をどう確定するかという問題も含まれます。この事実をどう確定するかは実務法曹にとっては特に重要であります。事実の確定を含めた法解釈という広く奥深い空間のなかで、法的分析力、法的判断力、法的説得力、法的解決力といった専門性を磨くために3年間あるいは4年間という期間は決して長い期間ではありません。  第2に専門職には利他性という性質があります。専門職は、自分のためではなく他人のための専門職です。社会のための専門職です。自らの専門職としての能力、資質を社会的に要求される客観的な水準に到達するまで学ぶことが要求されます。他人のための専門職ですから自分で勝手にその水準を決めることはできません。本学で学ぶ期間は、専門職になるために最低限必要な勉学の期間です。 第3に、法曹を目指す者が一定期間の勉学を必要とする理由に法曹の独立性があります。法曹の特質の一つは、独立性です。皆さんの殆どの方は、弁護士を目指していることと思います。皆さんが弁護士になって法律事務所に入ったとします。弁護士になったばかりということで、依頼者に法的助言をなすに際しまして、先輩のアドバイスに従って依頼者に法的助言をなしたとしましよう。仮にその先輩のアドバイスが間違っていたとしますと、責任を負うのは皆さんです。皆さんが弁護士として依頼者に法的助言をなした以上は、皆さんが依頼者に責任を負うことになります。弁護士になったばかりなので先輩のアドバイスに従ったというのは言い訳にはなりません。同じことは裁判官、検察官といった他の法曹にも言えることです。 このように、法曹資格を取得したと同時に皆さんは独立して法的判断をしなければならなくなります。法曹は、経験年数にかかわりなく独立の法曹として扱われるわけでして責任も自分のみで負わなければなりません。従いまして、皆さんは本学で法律専門家として自ら独立して判断ができるようになるまで自らの法的能力、資質を高めておく必要があります。 今後は司法制度改革によりまして法科大学院で学んだ者のみが、原則として、法曹となることができます。司法を直接支えるのは法科大学院の卒業生のみです。制度を生かすも殺すもその制度を支える人次第です。皆さんの本学での勉学の成果如何が司法改革の死命を制するといっても過言ではありません。 ただ、皆さんお分かりでしようが実は学ぶことは大変楽しいことです。また、学べるということは大変贅沢なことであります。皆さん、本学で3年間みっちり真剣に深く法律を学んでいただくことをお願いします。 以上で学長告辞とします。

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